VL2 住宅断熱性能不具合象例−新築一戸建て引渡し前の断熱機能と劣化耐久性に支障及ぼす象例新築一戸建て建売住宅の引渡し前内覧会に同行する一級建築士が、住宅断熱性能を熟知した検査知識で外壁・屋根・天井等の断熱性能実態をチェック検証した象例です。 検証した断熱施工部位は、新築一戸建て住宅での日常の住生活における冷暖房効果の損失障害、さらに住生活者への健康安全性および構造部材の劣化耐久性能に支障およびしかねない異状箇所を、画像併用して概説します。 |
住宅断熱性能不具合象例の対象 新築一戸建て住宅 建売一戸建て住宅 分譲新築戸建て住宅 戸建てマイホーム 二世帯住宅 新築戸建て別荘 住宅断熱性能不具合象例の分類 内覧会同行サービス 内覧会同行チェック 内覧会立会いサポート 引渡し前買主検査立会い同行 |
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2-1屋根裏断熱材敷詰め不足象例(屋根断熱性能効果が低下する不具合)左画像は、屋根裏内部(最上階天井裏面部)の断熱材敷詰め部分に詰め空きが生じた"断熱材敷詰め不足"の象例です。 断熱材敷詰め不足の当該事象は、住宅断熱の性能を著しく低下させる要因となる不具合の断熱材設置欠格と所見できます。 加えて年月経過に伴い、敷詰め不足事象付近の天井面や内装壁面に"サーマルブリッジ現象に起因する結露およびカビ発生"をも誘因させ得る状況と考察され、断熱住宅性能品質および住生活者健康安全上、軽視できない施工ミスに因る断熱不良住宅と考査します。 尚、断熱材敷詰め不足部分の緑色物は、断熱材への湿気浸透を防ぐ「防湿フイルム材」です。 |
2-2屋根断熱部位の防湿層(防湿シート)損傷象例(屋根断熱材の性能低下と住宅断熱性能効果低下の不具合事例)左画像は、屋根裏内部に設置された断熱材の防湿層(シート状の品材を指す)が"防湿層損傷"した象例です。 撮影画像のピンク色シート材を提議しているのではない、当該断熱材は黄色ウール断熱材下部に存在する防湿層とピンク色シートが一対化した断熱材品であり、ピンク色シート損壊=防湿シート損壊の構成事実を目視確認した上で現状指摘である。 事象検分結果としては@防湿層に切り裂き状損壊 A黄色ウール断熱材の敷詰め厚さ基準に均一性欠格などが挙げられた。そして、当該事象も結露が頻発する年月経過に伴い、住宅断熱材の耐久品質性能を著しく加速低下させ得る実態の不具合と診査でき、断熱施工品質管理ミスに起因する新築住宅完成品質不良、および断熱材周辺の屋根裏換気状況次第では断熱材に"黒色カビ種の発生・繁殖"を誘発させ、居住者健康に支障およぼしかねない現状と考査します。 尚、右・緑枠画像は一般住宅新築戸建ての屋根裏内部に防湿材付き断熱材を用いて敷詰め施工された断熱工事の参考事例です。 |
2-3外壁断熱部位の断熱材設置欠損と防湿材損壊象例(外壁断熱材性能と木造住宅耐久維持性能の低下および住環境悪化の不具合事例)左画像は、新築一戸建て建売住宅引渡前に検出したA"外壁断熱材設置欠損"およびB断熱材室内側の"防湿材が損壊"した象例です。この象例は、A象例とB象例の不良事象が複合した2箇所の事例あり、箇所@は中間階天井裏内部におけるA外壁断熱材とB防湿材の施工部分、箇所Aは屋根裏内部におけるA外壁断熱材とB防湿材が施工された部分の実態が多くの分譲一戸建てにて検出された象例です。 A象例の"外壁断熱材設置欠損"においては上記2-1屋根裏断熱材敷詰め不足象例と同様に、住宅断熱の性能を著しく低下させる要因となる加速性不具合と検分でき、断熱材設置欠格と考査します。 次にB象例の防湿材とは、ウール状形断熱材が結露ならび湿気を吸収する作用による断熱性能低下を防止するために密封貼りで設置される防湿材であり、住宅内部側の防水材と考えても良い重要な住宅構築部材です。その"防湿材が損壊"した現状では、室内から発生された湿気が改装材を浸透し、壁内のウール状形断熱材がそれを吸収して堆積する現象です。右・緑枠画像は戸建て一般住宅外壁部位の防湿材付き断熱材を用いた標準施工参考例です。 この悪現象を長期間放置した場合には人体に有害な黒カビ(クラドスポリウム)が生殖・繁殖状況を意味する"ダンブネス状態"の恐れが予知され、最悪時には居住者の健康人体を害したケースも少なからず報告されている。従って、不作為な施工に因る木造住宅劣化耐久維持性能欠格および住生活健康安全予防不良が存在する新築分譲戸建て住宅と考査した事例です。 |
2-4外壁断熱材設置不備と防湿材取設欠落象例(外壁断熱性能低下および木構造部材耐久性低下の不具合事例)新築一戸建て内覧会同行立会いページの外壁断熱材欠格・防湿層取設欠落に戻る 左画像は、某住宅販売の新築戸建て建売住宅の引渡前内覧会にて検分した室内側"外壁断熱材設置不備"および"防湿材取設欠落"した2種類の象例です。当検分箇所は1階と2階に位置した換気機能を有しない天井裏内の外壁断熱材設置部位に、断熱材および防湿材が設置不備・取設欠落した甚大な不良象例です。(補足:断熱材裏面の上部に見える建材は外壁下地材の耐震構造用面材のベニヤ板です) 当象例の不良部分は直ちに支障をおぼす事象は微少であり、それを察知する居住者も少ない。だが、時系的な経年事象においては@天井裏外壁断熱材設置不備に因る冷暖房消費量の増大かつその過剰消費の料金影響を被る。A露出した断熱ウール材面部から"黒色系のカビ類"が発生する(繁殖次第では幼児・高齢者から呼吸系障害が現れる)。B不良事象部または接合金物付近・周辺の構造木材に著しい変色、および通常の経年劣化と異なる過剰または甚大な裂け割れが事象する。などの実状ケースから、施工不作為に因る木造住宅劣化耐久維持性能欠格および住生活健康安全予防不良が存在する新築一戸建て分譲住宅と考査します。 右・緑枠の2画像は一般住宅における天井裏内部の外壁断熱材と外壁透湿材の標準施工例です。 |
2-5ユニットバス床下基礎断熱欠落象例(住宅断熱性能低下と住環境悪化および木造住宅耐久維持性能低下の不具合事例)左画像は、内覧会に同行して検分した新築戸建て住宅のユニットバス浴室床下周部の基礎面に"基礎断熱が欠落"した象例です。 この新築住宅の浴室は床断熱仕様の気密型ユニットバスではない。由って、ユニットバス床下周部の基礎面にはJIS規格の断熱性能を有する断熱材で覆う定めに反した欠格象例です。右画像はその規定概要を図解した断面図です。 この種の象例も直ちに支障をおぼすことはなく、専門知識を有さない住生活の方には、それに起因した異状事象も早期に気づく事も難しい実情ながら、木造住宅の経年劣化を加速させる要因の一象例です。右画像はユニットバス床下の標準な基礎断熱仕様です。 これらを鑑み、施工不作為ならび工事監理者責務の不作為に因る住宅断熱性能低下と住環境悪化および木造住宅耐久維持性能低下存在する新築一戸建て住宅と考査します。 |
2-6ユニットバス床下断熱空間の気流止め点検口欠落象例(住宅断熱性能低下と住環境悪化および木造住宅耐久維持性能低下の不具合事例)左画像は、新築戸建て住宅の引渡前に検証した、ユニットバス床下空間の隔離と点検機能を兼ね備えた"断熱性能を有する気流止め点検口が欠落"した象例です。 この気流止めの目的は、壁の内部や天井裏内部に結露=住宅耐久性低下(主に木材の腐朽)を発生させないために各所の施す「塞ぎ手法」とも言える施工仕様である。そして、ユニットバス床下の気流止めの効果とは、ユニットバス床下断熱空間への外気(関東より北地域では特に冷気)侵入を防止して、ユニットバス浴室の床下内結露を防ぎ、かつユニットバスの早期劣化を予防する。更にユニットバス浴室と接する間仕切壁内や天井裏内の構成木材、および内装建材の耐久性維持確保が挙げられる。 反して、気流止めを講じてない場合の外気流入経路については、他者作成の右・画像にて流入経路図解を用いて示します。 気流止め欠落事象と現状観察および前記の考察から、建築知識不足の施工業者に因る住宅断熱性能低下と住環境悪化および木造住宅耐久維持性能低下、加えて基礎位置から土台材ずれが存在する新築戸建て住宅と考査した事例です。 右・緑枠の2画像は現社会の標準住宅で視られる「気流止め機能を有した」進入点検口の設置外観です。 |
2-7断熱構造・ユニットバスの気流止め欠損象例(住宅断熱性能低下と住環境悪化および木造住宅耐久維持性能低下の不具合事例)この象例は、新築木造戸建て住宅浴室における断熱構造・ユニットバスのユニット床四周部に"気流止め樹脂材の欠損と損壊"および"防湿フィイルムシートが欠落"した2種類の象例です。 左画像はユニット床の気流止め樹脂材が欠損・損壊した実態(写真内の赤枠部分)と、その箇所をイラスト図解画像で示す部位の象例ですが、当該部位も現況上、目視検分が不可能部分であったため、デジタルカメラと風速計を使用して検証に及んだ結果、気流止め設置の樹脂材に欠損と破損が認められた次第です。 加えて防湿材の欠落においては、実態写真左側の黄色断熱材部分を防湿材で覆う、またはユニット床の気流止め部分から下方の基礎躯体周部を防湿フィイルムシートで覆う断熱構造でされており、現状それがなれていない。右・画像は当新築住宅で採用した断熱構造・ユニットバスの「防湿フィイルムシート取付け方法概略」図です。 前記の実状から、住宅断熱性能低下と住環境悪化および木造住宅耐久維持性能低下のおそれのある浴室が附属した新築木造戸建て住宅と考査します。 |
2-8住宅床断熱材の剥落象例(住宅床断熱欠損および住生活環境損失の不具合事例)左画像は、新築一戸建て分譲住宅の再内覧会時に床下進入精査で検出した"床下断熱材剥落"および"床下断熱材剥脱"の象例です。 この新築分譲住宅の1階床断熱状態は、押出法ポリスチレンフォーム断熱材3種(厚さ50㎜)の断熱材が90㎝四方で剥落事象、および断熱材設置部位に点在する剥脱事象は在ってはならない不良象例です。 由って、この現状から住宅断熱欠損および住生活環境損失が点在する新築分譲住宅と考査します。 |
2-9住宅床断熱材の湾曲剥脱象例(住宅断熱性能低下および住生活環境損失の不具合事例)左画像は、新築戸建て建売住宅引渡前の内覧会に立会い同行した当日に床下進入精査で検分した"床断熱材湾曲剥脱"の象例です。 当該建売住宅では、1階床に厚さ80㎜のグラスウール断熱材を不織布で取設されていたが、数箇所に湾曲状に剥脱事象した実態不良象例です。 住宅構造部へ直ちに支障およぼす事象ではないと覗えるが、長期間わたり住宅断熱性能低下および住生活環境損失が生じるおそれの部分が点在する新築戸建て建売住宅と考査します。 |
2-10住宅床断熱材附属の不織布破損象例(住宅床断熱材維持耐久性および住生活環境性に支障をおよぼす不具合象例)左画像は、新築戸建て住宅を引渡前に立会い同行した一級建築士が、床下進入精査で検証した"床断熱材附属不織布破損"の象例です。 当新築戸建て住宅の1階床断熱材はグラスウール素材を利用しているが、その断熱材を床裏直面に設置する役割を担う不織布が破損事象しており、断熱材剥落の必然性状態の不良象例です。 この事象も住宅構造部へ直ちに支障きたす事象ではないと知見するが、年月経過で加速する住宅床断熱材維持耐久性および住生活環境性に支障およぼす部分が点在する戸建て住宅と考査します。 |